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人手不足の介護業界、人材育成の難しさ

退職理由、ホンネとタテマエ

 私の管理者としての資質が不足しているのか、それとも介護職員の仕事に対する考えがそうさせるのか、それとも他に理由が・・・。

次々と退職する職員。

 退職理由はだいたい一緒。「家庭の事情で・・・」か「体力がもう・・・」男性なら「こんな月給では家族を養えない。」月給ならこの業界に入る前から安いって知ってたでしょ!?私も知ってたけど、確かに想像以上の安さやもんね。絶対嫁さんを働かさんと生活できないもんね。それで生活できたとして、子ども出来ても、ええ学校なんて行かせることはできんもんねぇ。貧乏人はずっと貧乏人。ヒラの介護職員のままやったら私も退職してたと思う。

 ホンネはたいてい人間関係。イジメられるから。イヤな奴がいるから。自分が優位に立っていたのに急に立場が逆転したから。イジメる相手がいなくなったから。

 体調壊して退職する人もいる。メンタル壊してバーンアウトして退職する人もいる。会社は訴えられないように、とっても優しい声で手早く退職手続きをしてくれる。雇われる人間はいつでも弱者。使い物にならんようになったら消耗品のように捨ててくれる。

 自分だけは違うと思ってても、結局は雇われてる人間。使えなくなって絞り汁も出なくなるまで使われてポイと捨てられる。それ、私の今の姿。苦笑するしかない。

人手不足でも募集をかけると応募殺到

 介護業界の人手不足は深刻。でも、求人募集をかけると応募は多数。みんな、少しでも良い施設がないものかと転職を繰り返す。そこにはもう「利用者さんのために働く」とか「利用者さんの笑顔や感謝の気持ちがシゴトの原動力です」というタテマエはない。自分が生き残るために必死である。ホンネは「人間関係がよくて給料がよい」「福利厚生しっかりして、人手不足じゃなくて仕事内容も比較的ラクな施設に就職したい!」そんな蜃気楼のような施設を探し求めて、今日も介護職員はさまよう。

 グループホームの仕事は特別養護老人ホームに比べれば、体力的にはラクであろう。でも、メンタルはしんどい。一緒に働く職員や利用者との相性が良くなくても、狭い施設で仕事中はずっと一緒。認知症状がヒドくなって耳元で同じ言葉を数時間に渡って聞くことになる。気がどうにかなりそうになる。それでも耐え抜くメンタルがないと、グループホームは勤まらない。グループホームの入所者も重度化が進んで特養並みの人ばかり。本当は特養を勧めたいけど、次の入所者が見つからない。グループホームは介護設備が貧弱だから腰痛になる確率大である。

それでも砂漠をさまよい蜃気楼の泉を見つけるべく、グループホームに就職したい人が履歴書を送ってくる。電話をしてくる。

採用は一番の難題

 応募してくる人はピンからキリまで。今まで百数十人の人と面接をしてきた。私の上司もそうだが、数十分の面接で百発百中で「いい人」「長続きする人」を採用するなど無理である。確率の問題だろうと思う。友達を作るのだって、みんな「いい人」に当たるわけではない。いろんな人と付き合い、長い時間をかけて「あいつ、ええヤツやん」で思うのである。結婚相手もそうであろう。長い間付き合って「この人となら」と思って結婚してもすぐに離婚することだってある。たった数十分の面接で「いい人」を採用できるわけがない。

 面接している間は、こちらも相手も手の内を見せません。どちらもいいことばかり言う。お互い「キツネとタヌキの化かしあい」である。

色々な面接手法を試した。面接技法の本や医療雑誌で採用特集があれば、買い求めて採用のコツなどを勉強した。心理学を学んだこともあった。どんな面接をしても、結果は同じ。確率の問題である。

だから私は「キツネとタヌキの化かしあい」から降りることにした。面接ではホンネで話す。施設を見てもらって、問題点を共有してもらう。どれくらいの仕事量があるかも細かく話すようにした。待遇面もキチンと伝える。そうして、仕事に対して覚悟をもって来てくれる人ばかりになった。「長続きする人」の確率は格段にアップした。

あとは「いい人」に出会う確率アップの問題だ。ある程度アテになりそうなのは今勤めている職員からの「紹介」である。いい職員からの「紹介」なら間違いなく「いい人」を紹介してくれる。しかし、これはレアケースである。そんな「いい人」は、今勤めている施設を簡単に辞めるわけがない。アチラの施設でよほどの不満がない限り、こっちには来てくれない。実際、「いい職員」から「いい人」を紹介してもらったことは一切なかった。

 しかしこの「紹介」も大きな問題を抱えている。紹介元の職員が、元々イヤな奴の場合である。似たようなのがワラワラと入職してくる。イヤな奴たちの天下統一である。そうなるともう、小さな施設は崩壊する。それが会社で一番エライ人とつながっていたらもう、目も当てられない。管理者であっても退職に追いやる。私がそうだったから間違いない。陰で適当なウワサを上司に流されて辞めさせようとする。まさか自分は大丈夫だろう、とは絶対に思わないことだ。本当に卑劣なことをする人間は、すぐそばにいる。それから私は人間不信になり、基本的にはすぐに人を信じなくなった。性善説から性悪説に乗り換えた。

「紹介」を使う場合は、いろいろ考えてから導入を。

「いい人」に出会う確率アップの問題、その2。「人材派遣会社」や「人材紹介会社」にも頼ったことがある。登録されている人材情報で、うまくマッチングしてくれる。紹介料高いから間違いない、と思うのは幻想である。あちらも商売である。商売のために人身売買しているようなものである。スキルがなくても「この人はオススメですよ」なんて平気で勧めてくる。「いい人」が来てくれる確率は直接採用と変わらない。

しかも人材派遣会社を通じて採用すると、必ず直接採用の職員とモメる。まずは時給の話でモメる。人材派遣会社からいくらもらっているのか、お互い平気で聞くし、平気でしゃべる。それが悪いわけではないのでしょうが。それから、派遣社員は、ピッタリ定時で帰る。絶対残業しない。同じシゴトしてるのに何であっちは時給高くて、定時で帰れるのか!?これで必ずモメる。

 人材派遣会社に頼むなら、いろいろ考えてから導入を。

人手不足で1か月連続夜勤

人手不足になって一番大変なのが、「シフトの穴」。特に夜勤が大変だ。職員全員が夜勤ができればいいのだが、人手不足の際に「日勤だけでも来てくれたら助かる」「夜勤以外できるんやったら来てもらおうか」なんて採用するから、夜勤ができる人は正社員だけになることもザラである。日勤は十分まわるんだけど、夜勤がまわらなくなる。おまけに日勤がパートだけになって、介護の質が低下する始末。そのくせパートさんは「正社員が頼りない」とか平気で言う。そりゃあ正社員さん、ずっと夜勤でクタクタですから、少しはいたわってあげてくださいよ。ホント、人間って弱いものイジメが大好き。お互いを思いやる気持ちがない。介護する人間って、その能力、一番必要なんじゃないですか?

 職員を採用しても、夜勤までできるよう一人前にするには、仕事の飲み込みの早い人でも少なくとも6か月は必要。特にグループホームは、夜勤者はワンフロア一人で切り盛りしないといけないし、緊急時の対応がしっかりできないといけない。仕事の飲み込みの悪い人なら1年くらい夜勤を任せられない人もいる。

その間、だれが夜勤するの!?

 正社員さんと私で夜勤をまわすしかないんですよね。グループホームの管理者なんて、耳心地がいいですが、ただのプレイングマネージャーです。管理者業務だけなら、身体も休めることができますが、現場も入らないといけない、しかも夜勤も、となると休む暇もなくなります。夜勤して、見学対応して、緊急対応して、通院対応して、来客対応して、請求作業して、シフト表作って、ってやってたら家に帰る暇もありません。

こんなことやってて、身体がおかしくならないわけがありません。

 夜勤が続いたある日、久々に自家用車で帰りました。間もなく自宅という手前の狭い道で、対向車とすれ違うことに。夜勤後の頭は正確に距離を計ることができず、対向車の横っ腹をこする事故を起こしてしまいました。

 幸い、どちらにもケガはありませんでしたが、相手がヤクザみたいな人で、私のクルマを蹴ったり、私の胸倉をつかんで押し倒そうとされたりで、私の心は大きなケガをこうむりました。

 小さな施設の管理者の仕事が、これほど大変とは思いませんでした。というか小さな施設で、人がいないからなおさらなんでしょうね。小さい施設の管理者になる方へ。いろんなことを考えてから受けて下さいね。特に、人間関係にはご注意を。

難しい人材育成

 後にも先にも、この時ほど人手不足を感じたことはありませんでした。40歳手前で、まだまだ体力に自信があったから乗り越えられたと思います。それ以降、多少の人手不足はへっちゃらになりました。「慣れ」って恐ろしいですよね。

 その後、少しずつ人材もそろい、なんとか普通にシフトもまわせるようになりました。私もようやく管理者の仕事がまともにできるようになり、休みもまともに取れるようになりました。私の最初の目標、「自分の理想の介護」をどうすれば他の職員と実現していけるのかを考えれるようになりました。

人材育成の前に快適に仕事ができる環境を

 あの頃、私はまだ駆け出しの管理者で焦っていたのでした。早く実現したいという思いが先行してしまい、自分の理想の介護を職員さんたちに押し付けていました。「ああでないといけない、こうでないといけない」毎日毎日朝礼で説教じみたことを言っていました。

 そんなある日、職員が私に言いました。

「ホーム長の理想の介護にはついていけません。」「理想が高すぎるんです。」と言われました。

  そこで私はわれに返りました。現状を把握して、冷静に考えていなかった自分に気づきました。ただただ暴走していただけで、各職員がどんな気持ちでいるのかを考えていませんでした。まずは職員が快適に仕事ができるように環境を整備しないといけません。落ち着いて仕事に取り組めるような業務体制にするべく、各職員の意見を聞きました。

小さな不満ばかりでしたが、施設のオーナーにお願いして、職員の希望に沿う職場環境にしてもらいました。

各職員のレベルにあわせた目標設定と研修

 それからは、各職員の介護の習熟度に合わせて目標を決め、個別に弱点を克服してもらうように研修を設定し、少しずつステップアップしてもらえるようにしました。

 また、各職員が介護の主役となってもらえるように、主体的に「この利用者さんにこうしてあげたい」と言えるような環境を整えました。

 仕上げでは管理者が黒子となり、目標を達成できるようにアシストをするだけにしました。今までトップダウンで指示を待つだけの仕事から、自ら考えて提案し行動できるボトムアップ型の仕事ができるようになってきました。

 全員がそのように動けるようになるまでには、約3年かかりました。なんとか自分の理想の介護に近づけることができたのでした。

外部研修に多く参加できる環境作りを

 地域のグループホームとの話し合いにも、積極的に参加できるようになりました。そこは施設運営にかかる様々な話し合い、勉強をする場でした。それぞれの管理者さんがそれぞれの経験を活かして成功・失敗した事例を話し合ったりしました。

 今まで一人で管理者が悩んでいたことが、みんなで悩みを共有できることで様々な解決策を見出すことができるようになりました。 人材の確保や人材育成についてのノウハウをどんどん聞くことができ自分の施設でも導入したいことが、どんどんと出てきます。

 介護の業界は、横のつながりが極端に少ない。鎖国ですよ、鎖国。上司に言っても「そんな暇があったら介護の充実をはかれ」という。そのために必要だからお願いしてるんですけどねぇ。もっと、横のつながりが広がれば、管理者だけでなく、いち職員も一人で悩むことなく、介護ができるようになると思う。で、もっともっと介護の質が良くなるようになると思う。

 それから、外部研修。人手不足で中々受講することが難しい。法人のスタンスによっても外部研修を受けやすい受けにくいがあります。この点、児童福祉の方はうまくできてると思う。児童福祉では「処遇改善加算Ⅱ」を導入し、この加算を受ける場合は所定の外部研修を受講するようにとなっている。また、研修に行くと、現場の保育教諭が少なくなってはいかんからと研修代替職員の雇上げ費が公定価格に計上されるようになっている。

 この点、児童福祉と高齢福祉の、政策上のおカネの使い方の違いなんでしょうか?高齢福祉でも、もっと気軽に外部研修に行けるシステムを作ってほしいものです。

 本日も最後までおつきあいいただき、本当にありがとうございました!

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